サチウスヨ

食事の攻防

食事の途中で電話がかかってくると、私はテーブルに並べられているものを素早く確認する。魚や海老などがあれば福千代に狙われる可能性が高いので、電子レンジの中に入れるなどして隠さねばならない。要注意のおかずが複数あって電子レンジの中に入りきらな...

死んだ後も一緒に寝る

猫は寝るのが好きである。とりわけ飼い主と一緒に寝るのが好きなようだ。私がベッドに入ると、違う場所で寝ていてもすぐさまやってきてベッドに飛び乗ってくる。そして私の首に前足を回して、荒い鼻息とともに結構な音量で喉をゴロゴロ鳴らす。私にとってそ...

武千代

福千代は一人っ子でいることを望んでいるし、私も愛情の全てを一匹に捧げるのが性に合っていると思うのだが、一度だけ、もう一匹飼うことを真剣に考えたことがある。 職場の駐車場にはいつも数匹のノラ猫がいた。人を警戒して1メートル以上近づくと...

猫の嫉妬

私は若い頃、猫屋敷とまではいかなくとも、4,5匹の猫と一緒に暮らしてみたいと思っていた。猫同士がじゃれ合う姿を見るのは楽しいし、そこここに猫がいるのはどんなに幸せなことだろうと憧れていた。しかし福千代は他の猫の存在を決して許さないだろう。...

救助猫

私は子持ちカレイの煮付けが好きだ。しかし子持ちカレイは決して安くない。なのであまり作らないが、ある日スーパーで半額になっていたので買ってきた。 卵にも味が浸みるよう、じっくり煮たのだが、食べてしばらくすると体中に蕁麻疹ができた。たぶ...

猫に見えるもの

猫は人間には見えないものが見えるという。福千代がどうやらそういうものを見ているなと思うことが3回あった。 福千代にとって2度目の引越の日のことである。引越屋さんが帰り、私が荷物を片付けていると、福千代は新居を隅々まで匂いを嗅いで探検...

猫は人間の言葉がわかる

猫はどの程度人間の言葉を理解しているのだろう?  まず自分の名前は完全に理解している。私が「福ちゃん」と呼べば必ず返事をする。眠っている福千代の耳元で、聞こえるか聞こえないか分からないぐらいの小さい声で「福ちゃん」とささやくと、すぐ...

吹雪の夜

山の上の別荘地に住んでいた時のことである。 その日は低地でも雪が降っていた。私は退社後タイヤにチェーンを巻き、途中スーパーで買い物をして自宅に向かっていたのだが、別荘地の入り口付近まで上っていくと道は凍り、ツルツル滑るので、かなりス...

お出迎え

福千代は私が仕事から帰ると、必ず玄関で出迎えてくれた。「おかえりー、おかえりー」とにぎやかに鳴いて、私にぴったりついて部屋に入った。山に住んでいた時は猫ドアから自由に出入りできたので、毎晩駐車場まで出てきてくれた。また私の帰りを駐車場で待...

猫に赤ちゃん言葉

猫に話しかける時、赤ちゃん言葉になる人がいる。若い女性が使うなら、それほど違和感はない。しかしもっとお年を召した方が「~でちゅねー」などと言う様は少し異様に思えた。自分が猫を飼うまでは… 猫と暮らし始めると、無意識のうちに「ごはんに...
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