2020-09

吹雪の夜

山の上の別荘地に住んでいた時のことである。 その日は低地でも雪が降っていた。私は退社後タイヤにチェーンを巻き、途中スーパーで買い物をして自宅に向かっていたのだが、別荘地の入り口付近まで上っていくと道は凍り、ツルツル滑るので、かなりス...

お出迎え

福千代は私が仕事から帰ると、必ず玄関で出迎えてくれた。「おかえりー、おかえりー」とにぎやかに鳴いて、私にぴったりついて部屋に入った。山に住んでいた時は猫ドアから自由に出入りできたので、毎晩駐車場まで出てきてくれた。また私の帰りを駐車場で待...

猫に赤ちゃん言葉

猫に話しかける時、赤ちゃん言葉になる人がいる。若い女性が使うなら、それほど違和感はない。しかしもっとお年を召した方が「~でちゅねー」などと言う様は少し異様に思えた。自分が猫を飼うまでは… 猫と暮らし始めると、無意識のうちに「ごはんに...

人間は猫に服従する

福千代は甘えん坊だった。福千代が外から帰ってくると、私は無事に帰ってきてくれたことを感謝し、「福ちゃん、おかえり~」と抱きしめ、頭を撫で頬にキスをし、また抱きしめるといった長い儀式を行っていた。しかし山に移ってからは、家の周りが安全で事故...

野生の飼い猫

猫というのはたとえ生まれた時から飼い猫であっても、野生の本能はなかなか抜けないものだ。ひらひら動くものにじゃれつかない猫はいないだろう。あれは紛れもなく狩猟本能のなごりだ。動物園のライオンも、ハタキを振ると猫と同じ仕草でこれにじゃれついて...
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました