新たな病気との闘い

甲状腺機能亢進症が発覚して1年近くたった頃、福千代がひどい下痢をするようになった。エコー検査をすると小腸のリンパ腫が見つかった。私が「ガンですか?」と聞くと先生はちょっと口ごもって「そうです」と答えた。

腫瘍が広い範囲にあるため手術で取ることはできないらしい。抗がん剤は副作用が心配なので与えたくなかった。あと1か月で17歳という高齢なのだ。残された少ない時間を薬の副作用で苦しめるなど絶対にしたくなかったので、対症療法を選択した。

ただでさえ甲状腺機能亢進症でしっかり食べなければ痩せていくのに、食べたものが体に吸収されずに出て行ってしまうのは、恐ろしいことだった。4キロしかなかった体重は3.5キロに減っていた。病名を聞かされた時は涙が出たが、私は諦めたくなかった。どんなことをしても治してみせる、そう決心した。

私は花粉症対策などのため日頃から村上農園のブロッコリースプラウトを食べていたが、ガンにも効くと言われていることは知っていた。それでブロッコリースプラウトを細かく刻んだものをレトルトの餌に混ぜて食べさせ、食後に病院で出された薬を飲ませるようにした。

1週間後病院に行くと「食欲はありますか?」と聞かれたので「あります」と答えた。すると先生は顔をあげて「あるんですか?」と驚いたように言った。次に便の色を聞かれた。「ここの所ずっとこげ茶でしたが、今日は黄土色でした」と答えた。先生は「回復の傾向が見られます」と言った。そしてカルテをじっと見つめ、いくつか質問をして、長い事考えておられた。

この病院の待ち時間が長いのは、患者が多いのに加えて、先生がこうして1匹1匹を非常に丁寧に診察するからなのだとその時思った。引越が多かったため動物病院は何軒も行ったが、これほど慎重に治療法を考える獣医師は初めてだった。良い先生に会えたと思った。

下痢止めと整腸剤の効果が表れ、徐々に便は固くなっていった。体重も4キロを超えて安定してきた。回復したことに先生も驚いておられたようで、「普通に生活できているのがスゴイです。すばらしいです!」と福千代のがんばりを褒めてくださった。

本当に福千代はよく頑張ってくれた。それは先生の手厚い治療のおかげでもある。私は天にも昇る心地で喜んだ。17歳になったけど、まだまだ長生きしてね。最低でも20歳まで生きてねと毎日のように福千代に言い続けた。

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